2019年6月より地図記号に新しい仲間が加わりました。
自然災害伝承碑(しぜんさいがいでんしょうひ)という名前の記号です。
正式な地図記号ですのでもちろん学校で習う地図にも掲載されます。
どんな記号なのか、どんな目的で新たに追加されたのか気になりますよね。
実はこの地図記号、わたしたちが安心して生活するためにとってもためになる記号なんです。
自然災害伝承碑とは
自然災害伝承碑とは
自然災害伝承碑とは過去にその地で起きた、洪水や津波、火山や土砂崩れなどの災害を伝える石碑やモニュメントのこと。地図記号はその場所に自然災害伝承碑があることを示しています。
目的
地図上に地図記号「自然災害伝承碑」を掲載することによって、災害の歴史を正しく知らせ、その教訓を生かし、被害を軽減することを目的としています。
2018年7月の西日本豪雨災害で甚大な被害を受けた広島県坂町では、111年前に起きた大水害の被災状況を伝える石碑が現地に建立されていたものの、 地域住民にその伝承内容が十分に知られていませんでした。
これを踏まえ、これら全国各地に建立されている自然災害伝承碑の位置や伝承内容を地方公共団体と連携して収集し、2019年6月から国土地理院のウェブ地図「地理院地図」で公開します。また自然災害伝承碑を表す新たな地図記号を制定 し、2019年9月から2万5千分1地形図に掲載を開始します。
先人たちが現代に伝える災害の教訓を正しく知ることが、災害への「備え」を充実させ、災害による被害の軽減に貢献するものと考えています。
<出典:国土地理院ホームページ:http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri190315.html>
どんな形の記号なのか
記号の形は従来からある記念碑の記号の中に縦線を加えたものになります。
真ん中に縦棒がある左の記号が自然災害伝承碑です。右側は記念碑の記号です。
地図記号はその時代を反映している
地図記号に新しいものが加わるのは久しぶりだそうです。2006年以来とのことですので、実に13年ぶりです。
ちなみに前回の2006年に新しく加わったのは風車と老人ホームの記号です。
なんだか、新しい地図記号って時代を反映させていると思いませんか。
風車は風力発電用の風車です。エコや再生エネルギーという時代の流れを反映しています。老人ホームは高齢化社会という時代の流れから追加されたのでしょう。
今回新しく地図記号の仲間に加わる自然災害伝承碑も、近年の防災意識の高まりを反映させているのかもしれません。
調べ方、使い方
自然災害伝承碑の地図記号、ウェブ版の地図には6月から、紙の地図には9月から順次反映されていくそうです。
WEB上の地理院地図では、左上に表示される「情報」というボックスをクリックすると、「情報リスト」が表示されます。「情報リスト」の中に「自然災害伝承碑」という項目が追加されるようです。
(この記事を書いた6月5日現在ではwebの地理院地図にはまだ実装されていませんでした)
参考 地理院地図のページ:https://maps.gsi.go.jp/
まとめ
防災の記録を伝える石碑やモニュメントには過去にその場所であった災害の様子が記録されています。その地で被災した人々から未来のわたしたちへのメッセージといえます。
まだ存在すらしていない、これから生まれて来るであろう子孫たちの安全を想って刻んだ言葉です。
この記事を読んで興味を持ったなら、一度国土地理院の地図を見てください。近くに自然災害伝承碑が無いか探してみましょう。
それはあなた自身やあなたの大切な人を守る、過去からのメッセージです。そしてまた、これから生まれてくる子供たちの安心・安全を願う未来へのメッセージでもあります。
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