この記事はこんな人におすすめ
- お刺身やしめさばが大好きな人
- アニサキスが心配な人
夕食用に近所のスーパーで生タラを買いました。
ムニエルにして食べるつもりで、料理酒を振りかけて1時間ほど放置。
焼こうかなーと、タラをトレイから取り出すと・・・残った料理酒の中に糸くずが浮いていました。
2センチほどの細い薄ピンクの糸くずです。よく見ると糸くずは動いています。
え~!!!!
初めて見ました。アニサキス。
老眼だからかなり顔を近づけて見たのでアニサキスと・・・
目が合いましたよ~。
(もちろんそんな気がしただけですが)
アニサキスさんの第一印象は、細いイトミミズ。
うにうに動いてむっちゃ気持ち悪い。
アニサキスさんとご対面して以来、大好きな魚料理がちょっと心配に。
ということで正しく恐れるためにアニサキスについて調べてみました。
わたしは刺身やしめさば(きずし)が大好物。
なのでアニサキスを食べてしまったらと不安でしたが、きちんと処理してあれば大丈夫みたいでしたよ。
アニサキスへの基本的な対策は次の3つ
- 冷凍する(有効)
- 加熱する(有効)
- よく噛む(いまいち)
本記事はアニサキスに関するいろんな疑問(食べたらどうなる、症状、予防法など)の答えを紹介しています。
魚が大好きだけどアニサキスが怖い人は、読めば安心が得られるかも。
※アニサキスの気持ち悪い写真はありませんので安心してお読みください
アニサキスとは何か(基本情報)
アニサキス(学名:Anisakis)は線虫です。つまりは寄生虫。
アニサキスの幼虫は魚介類に寄生して、食中毒(アニサキス症)の原因となります。
アニサキスの幼虫は体長2~3cmで太さは0.5~1mmと細めのイトミミズのような外観です。
色は乳白色、わたしが出会ったのは白に近い淡いピンクな奴でした。
アニサキスの幼虫が寄生した魚介類を生食することでヒトの体内に入り、食中毒を引き起こします。
アニサキスはどんな魚にいるのか
アニサキスはどんな魚にいるんでしょうか。
アニサキスの幼虫はサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、ホッケ、タラ、イカなどに寄生しています。
アニサキスのライフサイクル
アニサキスの本来の居場所は海生哺乳類のお腹の中だそうで、成虫はイルカ、クジラ、シャチなどの胃や腸に生息しています。
幼虫は2~3cmほどの大きさですが、成虫になると雌6~10cm、雄3~9cmと立派なミミズくらいの体長となります(・・・キモイ)。
アニサキスのライフサイクル(一生)を紹介します。
卵が海中に放出される
アニサキスの成虫から生まれた卵は海生哺乳類の糞便とともに海中に放出されます。
卵が海中で孵化
アニサキスの卵は海の中で孵化します。
オキアミの体内へ
孵化したアニサキスの赤ちゃんはオキアミ(プランクトン)に食べられます。アニサキスはオキアミの体内で成長し、幼虫となります。
回遊魚の体内へ
サバやアジなどがオキアミを食べます。アニサキスの幼虫も一緒に食べられます。アニサキスの幼虫はサバやアジなどの体内(主に内蔵)に寄生します
海生哺乳類の体内へ
クジラやイルカがサバやアジを食べます。アニサキスの幼虫も一緒に食べられます。アニサキスの幼虫はクジラやイルカの体内で成長し成虫となり、卵を産みます。
以上のライフサイクルの過程において、サバやアジなどが人に食べられることでわたしたちの体内にアニサキスさんがやってくるというわけです(・・・コワイ)。
アニサキスはほとんどの魚にいる
アニサキス症の原因となる魚は国内ではサバが最も多いそうです。
その他には、ニシン、マダラ、スケトウダラ、サケ、マス、スルメイカなどがアニサキス症の主な感染源です。
日本近海の160種類余りの魚介類にアニサキスが生息しているとのこと。
どんな魚にもアニサキスの幼虫が寄生している可能性があるということですね。
アニサキスを食べるとどうなるのか
アニサキスに寄生されている魚介類を食べて、運悪くアニサキスが体内に入るとどうなるのでしょうか。
よく知られているのは、腹部に耐えがたいほどの激痛が起こるというものですが・・・
実はアニサキスが体内に入ったら必ずおなかが痛くなるわけではないそうです。
ほとんど自覚症状がない場合もあるとのこと。なぜなら痛みの正体はアレルギー反応だからなんです。
アニサキスが噛みつくから痛いのではない
わたしたちの体内に入ったアニサキスさんはどんな行動をするのでしょう。
胃の中に入ったアニサキスは胃酸で不快な環境から脱出をはかります。
苦しいので胃壁にくらいついて、胃の粘膜にもぐり込もうとします。
胃から逃げ出したいアニサキスさんは粘膜下に突き刺さった状態となるんですが、噛みついて突き刺さっているからお腹が痛くなるのではないそうです。
アニサキス症はアレルギー反応
アニサキス症の痛みの正体はアレルギー反応だそうです。
突き刺さったアニサキスに対するアレルギー反応で胃の粘膜がはれあがり、激痛や吐き気におそわれるとのこと。
なのでアニサキスに対してアレルギーを起こさない人は、軽微な症状だったり無症状だったりします。
逆にアレルギー反応を起こす人は七転八倒するほどの痛みに襲われます。
中には死んだアニサキスにもアレルギー反応を起こす人がいるそうで、加熱調理した魚でも蕁麻疹(じんましん)などの症状が出るとのこと。
こうなると一時的なアニサキス症ではなくアニサキスアレルギーという厄介な状態ですよねぇ。
アニサキスはヒトの胃液で死なないのか
アニサキスはヒトの胃液の中では長くは生きられません。
3、4日ほどで死んでしまうそうです。
っていうか胃袋の中で4日も生きられるなんて生命力強すぎて怖い!
アニサキスはヒトの体内で増えるのか
アニサキスは最終宿主であるクジラなどの腸管で成虫となり繁殖します。
ネットで調べてた時にクジラの腸管にうじゃうじゃと生息するアニサキスの大群の写真がありました。
(クジラに飲み込まれたピノキオやゼペット爺さんは、本当はアニサキスまみれだったのかもしれませんね)
幸いアニサキスはヒトの体内では数日で死んでしまいます。
なのでヒトの体内では成虫となることも、もちろん繁殖することもできません。
お腹の中がアニサキスだらけになる、なんてことはありませんのでひと安心ですね。
アニサキス症のあれこれ
運悪くアニサキスさんを食べてしまい、さらに運悪くアレルギー反応で症状が出た場合はどんな感じなのでしょうか。
アニサキス症の症状は?
胃アニサキス症:食後数時間~十数時間後に、激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐。ほとんどの場合が急性。
腸アニサキス症:食後、数時間~数日で激しい下腹部の痛みと悪心、嘔吐、腹部膨満感など。まれに腸閉塞となることもある。ほとんどの場合が急性。
消化管外アニサキス症:アニサキスが消化管から外へ出る。症状はアニサキスが寄生した部位によって異なるが、適切な処置が必要。
アニサキスアレルギー:食後、蕁麻疹などのアレルギー症状が出る。アナフィラキシー症状(呼吸不全、血圧降下、意識消失など)が現れることも。
アニサキス症は年間どれくらい発生している?
アニサキスの治療を長年続けているお医者さんによると、アニサキスが体内に入ってもほとんどの人(9割以上)が症状が出ないか軽症だそう。
アニサキス症の原因が「かじられる」からではなく「アレルギー」だからです。
日本国内でのアニサキス症の症例は年間500~1,000例ほど。
1日当たり2~3件、これが多いのか少ないのか・・・。
ちなみに年間の交通事故死者数は約3,000人です。
アニサキス症になるのは交通事故で死ぬ確率の1/3と考えればむっちゃすくないかな。
ただこの件数はあくまで病院でアニサキス症と診断された数字です。
スシ・刺身・シメサバなどを食した後の腹痛や吐き気で病院に行ってもすぐに内視鏡検査をしてもらえることは少ないようです。
たいていは検査予約を入れないといけません。
1週間後に内視鏡検査をしても、その時にはアニーは天国へ旅立っているので見つかりません。
なので隠れアニサキス症はもっともっと多いはず。そもそも9割以上の人が症状さえでないそうですし。
ということで、実はアニサキス症は気づかれないだけでかなりありふれた病気みたいですよ。
ちなみにアニサキス症での死亡例はないようなのでご安心ください。
ただ、アニサキス症ではなくてアニサキスアレルギーのほうだとアナフィラキシーショックとかになるので、最悪死んでしまう恐れもあるような気がしますが・・・
アニサキス症の治療法
現時点ではアニサキス症に対する有効な治療薬はありません。
アニサキス症に対する治療はつぎのようなものになります。
胃アニサキスの場合は、内視鏡による目視で胃壁に食いついているアニサキスを見つけて、鉗子(ピンセットみたいなもの)でつまんで取り除く方法です。
腸アニサキスの場合は、アニサキスが体内で死んで症状がなくなるのを待つとのこと。
腸閉塞など重症化すると、最悪、開腹手術が必要な場合もあるそうです。
ちなみに夏とか冬とか関係なく、アニサキス症は年中発生します。
もしあなたが、刺身、すし、しめさばなどを食べて猛烈におなかが痛くなったらすぐ病院に行きましょう。
アニサキス症を防ぐには(予防法)
アニサキス症を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
一番確実なのは魚介類を食べないことですが、そういうわけにもいかないですよね。
有効といわれている方法を紹介いたします。
冷凍する
アニサキスは冷凍すると死にます。
ただし、確実に息の根を止めるにはかなり冷やさないといけません。
-20℃以下で24時間以上冷凍だそうです。
家庭用の冷蔵庫の冷凍室は-18℃~-20℃なので確実にとはいきません。
業務用冷凍庫でガッツリ凍らせたものならまず大丈夫。
刺身やしめさばなどで「解凍」と書かれたものは安心できますね。
加熱する
アニサキスは熱に弱いので加熱調理で死んでしまいます。
60℃で1分以上、70℃なら即死です。
加熱調理でアニサキスに死んでもらうには、中心部まで火を通すことが重要です。
魚は熱が通りやすいので、普通の大きさの焼き魚や煮魚なら大丈夫。
たたきや表面だけを炙った場合は、アニサキスさんが身の中心にいたら効果なしとなるので注意が必要です。
新鮮なうちに内臓を除去する
アニサキスは内臓に寄生していて、宿主が死ぬと筋肉へと移動します。
なので、漁獲後新鮮なうちに内臓を除去することでアニサキス症を予防することができます。
内臓を生で食べるのは絶対にしてはいけません。
目視で探す
アニサキスの幼虫は目に見える大きさなので目視で確認して除去することもできます。
ただし、身の内部にいることもあり、必ず発見できるわけではありません。
下処理はプロに任せる
新鮮なうちに内臓を取り除くとか目視とかは一般消費者にはあまりなじまない作業です。
漁師さんや魚屋さんや料理人は寄生虫の知識があり、魚の下処理としてこれらを施してくれています(と信じます)。
アニサキス症を防ぐために、生食するなら生食用を買いましょう。加熱用とある魚介類は絶対生で食べないように。
よく噛む
ネットで調べたらよく噛むという方法が紹介されていました。
ただ有効だという意見と、アニサキスは小さくゴムのように噛み切りにくいのでよく噛んでも確実ではないという意見がありました。
わたし的には別の理由で「よく噛む」はおすすめしません。
意識的によく噛むということは、「アニサキスをかみ殺すためによく噛むんだ」と思いながら噛まないといけません。
これって、かなり嫌!
確実性もないし精神衛生上もよくないので「よく噛む」方法はおすすめしません。
他の方法でアニサキス症を予防しましょう。
よくある誤解
お酢や塩漬けではアニサキスは死にません。
醤油でもワサビでもアニーは死にません。
アニサキスについて、まとめ
アニサキスについてまとめます。
本記事はネットで調べたことに基づきます。
お医者さんや保健所、食品衛生局、厚生労働省などのしっかりしたサイトを参考にしましたが、わたし自身は専門家ではありませんので思い違いによる不正確な部分があるかもしれません。
ただし確実に言えるのは、アニサキス症を防ぐには加熱と冷凍が有効ということ。
魚屋さんや料理人のプロが下処理したものは基本安心です(寄生虫に対する知識があるし、食中毒を出すと信用問題なので)。
またアニサキス症はアレルギー反応で、ほとんどの人は症状がないとのことです。
加熱用と生食用をしっかり守れば、スーパーや魚屋さんで買った魚に対しては神経質になる必要はありません。
ちなみ、わたしの夕食用の生タラも加熱用でした。
アニサキスさんが住んでた生タラは、目視で不在をチェックしてから、しっかり焼いておいしくいただきました~♪
(・・・嫁と娘は気持ち悪がって食べませんでしたが。)
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