【書評】『東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる』

投稿日:2017年10月22日 更新日:

目隠しする女の子

核兵器を持った敵国が、日本に核攻撃を仕掛けるならどの都市を狙うのか、またどれほどの被害が想定されるのか・・・

この本は主に中共(中国共産党が支配する中華人民共和国)を仮想敵国として、彼らはどのような状況になった場合に日本を核攻撃するのか。そしてどのような思考にもとづいて核ミサイル発射を決定するのかを論じています。

タイトルは刺激的だが、内容はすごくまじめ

一瞬、トンデモ本か?と思わせるほど刺激的なタイトルですが、中身は大変まじめです。正統派軍事解説本といった内容です。著者の兵頭二十八(ひょうどう にそはち)さんのことはこの本ではじめて知りました。元自衛隊員だそうです。自衛隊除隊後に大学に進学し、評論家の江藤淳氏の知遇を受け、東京工業大学大学院で修士課程を終えたというかなり異色の経歴です。

著者紹介欄には”著述家・軍学者”とありますので純粋な学者・研究者さんではないようですが、理路整然と筆を進めます。また普通であれば専門的で難しくなりそうな内容も新書向けな親しみやすい語り口でわかりやすく説明してくれます。読み進めるうちにどんどん引き込まれて、一気読みしました。

わたしたちは核兵器について知識不足

わたしが子供だった1980年代前後は、ノストラダムスの大予言やら世界終末時計が数分前だなどと、核戦争の恐怖をあおり立てるような話題がたくさんありました。アラフィフ世代は誰もが、子供時代に「核戦争で人類滅亡」という終末論に恐怖を感じたことがあるはずです。

でも、この本を読むと「核戦争=人類滅亡」という単純なものじゃないということがわかります。
ほんと、知らなかったことばかりで、へ~、ほ~の連続です。裏返せば、核について、いかに無知であったかということです。

たとえば、

核兵器は爆発高度で被害が変わる。もし、発生した火球が地面に接するぐらい爆発高度を下げると、半永久的に人が住めない土地にすることができる。

核保有国は、核戦争後に有利な状況になるため、核兵器を全て使い切るようなことはしない。使える核兵器をいかに残すかを考える。

・・・なんてことが書かれています。

平和のために戦争のことを論じる

つい最近まで、日本が核兵器に攻撃されることなんてほとんどの人が真剣に考えたことなどありませんでしたよね。

ところが、2017年に入ってから急速に北朝鮮との緊張が高まり、核攻撃を受ける可能性も「ひょっとしたら、やられるかも・・・」のレベルまできています。

本書では、もうひとつの仮想敵国である北朝鮮に関しての考察もなされています。

また、核攻撃を受けた際に被害が少なくなる方法も、「カーテンを替えてみる」といった日常生活レベルから「線形に都市を分散する」といった国家百年の計レベルまで、いろいろ提案されています。

著者の「日本国民は核兵器・核戦争についてもっと真剣に考えるべき」というメッセージを強く感じました。戦争について真剣に考えることはカタチをかえた平和論なのです。

不安な現実に目を背けるのではなく、日本も核ミサイルのターゲットであるという事実を直視する。

そして、どうすれば被害が少なくなるのかを議論し実行することが、より現実的な平和への道ではないでしょうか。

目次の紹介です(大項目のみ)。

目次
まえがき 「核戦争の神話」を正すために
第一章 最も核被弾の可能性が高い街―横須賀
第二章 東京を襲う水爆は何発か
第三章 東京の周辺都市はどうなる
第四章 なぜ大阪は狙われないのか
第五章 北朝鮮が狙う千歳と小牧
第六章 被害を最小化する方法
おわりに 核攻撃を受けない術がある

 

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